米松について。羽目板で人気
皆さんは「米松」という木材があるのを知っていますか?
名前から見る通り「アメリカ産の松」というイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか?
米松(ベイマツ)はマツ科トガサワラ属の常緑針葉樹です。学名は「Pseudotsuga menziesii」で日本では米松、またはピーラーと呼ばれ、アメリカ産のマツを指していまが、本当はマツ属の仲間ではなく、トガサワラに近い樹木となります。そのため、品種などによっても別名があり、アメリカトガサワラ、ダグラスファー、オレゴンパインとも言われます。※ファーはモミを、パインはマツの意味を指します。
今回はこの米松についてご紹介していきます。
今回の記事のポイント
✓米松の特徴がわかる
✓米松の主な用途がわかる
✓米松と赤松との違いについてわかる
更新日:2023/5/25
初稿:2022/3/10
《目次》
・米松の特徴について~無垢材~
・米松のフローリング・床材などの用途について
・間違われやすい⁉米松と赤松の違いについて
・米松についてのまとめ
原産国はカナダやアメリカ合衆国本土にかけた北米大陸の太平洋側に分布し、北米産のものが大量に輸入材として運ばれてきます。
適度な硬さを持ち、加工性・耐久性にも優れ、木目も美しいことから人気があり、住宅用の建材としても優れた資質を兼ね備えています。アメリカやカナダはもちろん、日本でも木造住宅用に使用されるなど需要が高く、ホームセンターなどでも目にすることがあり、手軽な価格で簡単に手に入れることが出来ます。
米松の特徴について~無垢材~
米松は針葉樹になりますが、その中でも比重が重く、強い特徴があります。強靭で強度があっても加工性にも優れ、比較的狂いも少ないとされています。針葉樹で、広大な大地ですくすくと成長するので、広葉樹と異なり、長めの木材も生産することが可能です。ただし、樹脂成分も多く含まれていることから、塗装の際には障害があることもあるので注意が必要。
木目も真っ直ぐであるものが多く、木肌はやや粗目とされていますが、やすりなどでキレイにすれば気になることはありません。綺麗な杢目の中には時折黒ずみがかったものが出てきたり、時間が経つと出てくる場合もあります。
色は、黄色または、赤褐色の心材が特徴的で、マツ特有の厚い樹皮を剥ぐと顔を現します。
◆◆ここでワンポイント豆知識◆◆
マツとモミの違いについて。
マツとモミは異なる属に属する針葉樹です。マツはマツ科マツ属の総称(マツ属:Pinus)で、モミはマツ科モミ属のモミです(モミ:Abies firma)。したがって、属が主な違いになります。
さらに、マツは樹木でも低木でも構いませんが、モミは木だけです。そして大きな違いは生息地になります。一般的には、マツは北半球の森林から亜熱帯地域まで生息しますが、モミの木は寒い気候の土地にのみ生息します。
米松のフローリング・床材などの用途について
米松は昔から、柱や梁、大型構造材など建築用材として広く使用されてきました。その他にも、造作材や建具、集成材や合板にも利用され、幅広い活躍をみせます。産地でもあるアメリカではベイマツ合板が主流のようで各所で使用されているようです。
油分が多いことから、耐水性もそれなりにあり、水回りでも使用されたり、床材のフローリングはもちろん、羽目板としてアクセントやポイントで内装に使用するケースも少なくありません。
建築構造材や内装用にも万能なベイマツは、今お伝えした通り、ドアなどの建具以外にも内装材として広く使用されています。それは、重く硬い材質でありながらも、加工性に優れていることが要因でしょう。
しかし、米松は樹脂が多いので、ウレタン塗装などをした場合でもヤニが出ることもあります。そのため、事前にヤニ止め下地材を塗るなどした工夫や処理が必要なこともあります。
※ヤニとは…いわゆる樹液のことで、樹木の分泌する粘液や、それが固まったものを指します。木材の中で固まっていた樹液が気温の上昇と共に温められ、溶けだしてくることで木の表面に現れます。ヤニが出てくると表面の一部が変色し、色が濃くなっていき、たくさん出てくると触れるとベタつきます。
ヤニの説明だけ聞くと厄介なものに思われがちですが、実は、松脂(松ヤニ)の用途は幅広く、接着・粘着剤の材料として使われていたり、ヴァイオリンなどの弓に適度な摩擦を設けるために使用される他、滑り止めや香料・薬品、ガムのベースにまでも使われることがあります。
間違われやすい⁉米松と赤松の違いについて
皆さんは、米松と赤松の違いをご存知でしょうか?
名前が似ていることもあり、米松と赤松を混合してしまう方も多く、間違われやすい2種類ですが、実際には異なる部分が多いです。
米松はダグラス・ファーと呼ばれ、実際の樹の姿で言うとクリスマスツリーのような姿になります。葉が細く、針状に尖っているのが特徴で、日本人のイメージする松とは感覚的に異なります。カナダからアメリカにかけての北米に分布し、古い時代から日本に輸入材として大量に入ってきていました。産地によってバラつきはありますが、年輪も平均的に生長し、黄色や赤身を帯びたものを「イエローファー」、赤褐色が強いものを「レッドファー」と呼びます。
一方の赤松は、国産のマツ類で、日本人には馴染み深い存在です。日本の山にも多く生息し、北海道から四国・九州まで分布しています。主に、海岸から入った産地に多く見られ、心材はやや黄色味を帯びたピンク色や赤褐色のものまでバリエーションがあります。ただし、海岸付近ということもあり、曲がって育つものが多く、構造材として利用されることが多いかもしれません。
どちらもヤニ(樹脂分)が多く、使用する際には注意が必要で、フローリングなどに使う場合には脱脂されたものを使うことが適切です。
しかし、建材や構造材としては昔から使われてきたところもあり、直接的に触れる部分でなければそこまでの心配は必要ないのかもしれません。
以上の事からも、米松と赤松は別物であることがわかり、大きな違いは産地と育つ姿やスタイルになります。
米松についてのまとめ
いかがでしたでしょうか?米松の特徴や性質、間違われやすい樹種などご理解いただけましたでしょうか?
もし、これから新築やリフォームをお考えの方は、米松の使用もご検討してみてはいかがですか?もし、本物の無垢材を手にとってご覧になってみたい方は【無料サンプル】もございますのでお気軽にお問合せください。他にも数種類の木材を取り扱っておりますので、空間に合う木材選びなどにもご相談にのりますよ!皆さんのお気に入りの木材を見つけて、快適な住まいを楽しんでくださいね!