ブラックチェリーの床は巷で話題に⁉
今回は、巷で話題のブラックチェリー材についてご紹介します!
カジュアルなデザインの住宅や、DIYなどが増え、ブラックチェリーの需要は急速にアップしました!
ブラックチェリーの持つ自然な木目や色味が人気で、各所で使用される頻度が増えました。
もちろん、床のフローリングの無垢材や無垢羽目板だけでなく、家具や建具としての需要も多く、カジュアルでシンプル、そしてナチュラルな雰囲気が好きな方は必見です!
ちなみに、フローリングなどの木材の種類でいくと、もう一つ同じような種類があります。
それは「アジアンブラックチェリー」です。ブラックチェリーと何が違うのか?そちらも併せてご紹介していきましょう!
【今回の記事のポイント】
✓ブラックチェリー材についての特徴や用途などがよくわかる。
更新日:2023/11/24
初稿:2020/12/19
《目次》
・ブラックチェリーとはどんな木材?
・ブラックチェリーの特徴や用途
・ブラックチェリーのこれまで
・アジアンブラックチェリーとの違い
ブラックチェリーとはどんな木材?
ブラックチェリー(Black Cherry)は、アメリカン・ブラックチェリーやワイルドチェリーとも呼ばれます。
バラ科サクラ属の広葉樹になり、散孔材※1になります。
原産はアメリカの東部で、それでアメリカン・ブラックチェリーの樹とも言われるんですね。
※1 散孔材・・・木目がはっきりせず、年輪が見えにくいのが特徴の木材になります。これにはブナやホオの木、カツラの木なども含まれます。反対にケヤキやナラのような木材は環孔材と言って逆なものもあります。
なぜ、ブラックチェリーという呼び名かというと、日本のさくらんぼよりも大きく、赤黒い実がなることからそう呼ばれるようになりました。
この実は食用でも有名で、アメリカではポピュラーなものになります。
しかし、日本でも手に入るアメリカンチェリーとはまた品種が違い、よく間違われます。
辺心材の区別は明らかで、辺材は黄白色から白色になり、心材は淡い赤褐色から濃い赤褐色になります。
使い込むほどに飴色に変化していくことで高級感も増し、経年変化に愛着を持てる素材になります。
ブラックチェリーの特徴や用途
続いては、ブラックチェリー材の特徴や主な用途についてご紹介していきたいと思います。
空間のスタイルやアクセントに合わせて使うことで、ブラックチェリーの魅力を存分に引き出してくれます。
木の性能や色味
木質は軽軟な方なので加工はしやすいです。
木肌は綿密で仕上げをした際の表面はとても美しくなります。
耐久性については、心材はそこそこありますが、辺材は害虫に弱いのでそこまでではありません。
加工する際の乾燥においてはかなり速いんですが、収縮が多少あります。
表面に樹脂痕によって出来た黒い斑点や筋状の模様が入ることがありますが、これをガムポケットと言い愛好家などにはよく好まれます。
木材は一つとして同じものはないので、こういったガムポケットのようなものが床に表情としてあることで個性となり、愛着が湧いてきます。
先ほども述べましたが、心材と辺材の色の差ははっきりしています。
心材は赤褐色になり、辺材は淡い黄色や白、桃色と言ったような色味になります。
中には、ピスフレックスという傷の跡が点々と見られたり、ガムポケットもあります。
特にチェリー材の中でもペンシルベニア産のものは良質なものが多いようで、心材が太く、ガムポケットなどもあまりないようで人気だとか…。
ブラックチェリーの主な用途
ブラックチェリーの主な用途は、家具が一番多いかもしれません。
しかし、最近はこの色味などの人気からリビング・ダイニングの床材としての無垢フローリングや、壁や天井に使われる無垢羽目板としてもかなり施工が普及してきています。
温かい色合いがお部屋の雰囲気も良くしてくれたり、家具としても温かみを持てたりと需要が高まるのもわかる気がします。
他にもドアや楽器、モールディング材としても使用されますが、これも加工がしやすいことが理由の一つとしてあるかもしれませんね。
ブラックチェリーは経年変化を楽しむには最適です。
時とともにメンテナンスを含めてオイルや塗装を塗ってあげることで光沢や艶が増していきますし、飴色へと変化することで使い込む楽しさを覚えます。
最終的には艶のある焦げ茶色になっていき、元々散孔材ということもあって木目がおぼろげなので柄のない綺麗な表情になることでしょう。
触った感触もすべすべで滑らかですから、オイルを塗りこむにつれ、ずっと触っていたくなるような肌触りになっていきます。
ブラックチェリーの持つ独特の美しさが家具などの高級木材として扱われたり、オークやブラックウォールナットほど歴史は古くはありませんが、双方同様に多方面で愛されてきた木材と言えるでしょう。
価格においてもブラックウォールナットよりは比較的、安価に手に入れることも出来るのでコストパフォーマンスも良いとされます。
リフォームなどにおいても需要が高く、その色合いからインテリアとしてもコーディネートしやすい色味で、様々な色の壁紙ともマッチしてくれます。
新築でも若い方からの指示は高いです。
また、材木としてではなく、燻製用チップとしても好評のようで、よく聞くサクラのチップと同じ木材の類ですから、良い燻しを醸し出してくれることでしょう。
ブラックチェリーのこれまで
19世紀頃、キリスト教の一派であるシェーカー教という宗教がありました。
ニューイングランド地方と言って、アメリカ合衆国北東部の6州である、メイン州、ニューハンプシャー州、バーモント州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州を合わせた地方のことを言いますが、そこで自給自足で生活をするシェーカー教徒が家具を造り、生計を立てていました。
その家具をシェーカー家具と言って、今でも幅広く愛されている家具になります。
彼ら、シェーカー教徒がよく使用していた木材が、このブラックチェリー!
経年変化を楽しめ、深みを増し美しさまでも増していくブラックチェリーは、前回ご紹介したマホガニーにも引けを取らない材料でした。
これによって、家具職人たちは「ニューイングランドマホガニー」と呼ぶようにもなったそうです。
これ以降もブラックチェリー材は家具デザイナーからも愛され、多種多様な姿に生まれ変わってきています。
家具は消耗品とは違い、長く利用され愛されることで価値を高めていくことが出来ます。
アンティーク家具がその証拠です。
いくら年代が古い家具であろうと、木材の経年変化が美しく、時代背景と共に、家具としての存在を感じられることで価値が高まります。
最近では、環境問題の観点からも消費を減らすことが求められています。
以前のような大量生産時代ではなく、質の良いものを長く愛着をもって使用することで、自然と共にシンプルな生活をすることが出来ます。
そういった暮らし方を好む方も増えてきました。
モノが溢れている今の時代に、本当に良いと思ったものを購入することで、自身の幸福感にも繋がることでしょう。
アジアンブラックチェリーとの違い
「アジアンブラックチェリー」とは?「ブラックチェリー」とは何が違うのか?
そもそもアジアンブラックチェリーというのはアカテツ科の広葉樹になりますから、木材の種類として違います。
原産においてもインドネシアや南米ブラジルなどの熱帯地域になります。
他の呼び名では「マニルカラ」や「アマゾンジャラ」などと呼ばれます。
木材としての材質はブラックチェリーととても良く似ていて、赤褐色の色味に木目は細かく綿密で、肌触りがとても滑らかで、美しいです。
また、強度や耐久性にも優れていることで水中などでも使用が可能になるそうです。
同種類のウリン材と比べても樹液なども出にくく、害虫にも強いようです。
こうしたことからウッドデッキ材や浅橋、港湾材などに利用されることが多く、その類では高く評価される木材でしょう。
ここまでくると皆さんが思うのは、「何でアジアンブラックチェリーという名前なのか?」ですよね!
木の種類も違えば、用途や性質も異なるのに名前は似たようなもの。
これは、先ほどのニューイングランドマホガニー同様、産地や類似品とが組み合わせになり、わかりやすくしているのだと思います。
材木業界ではよくあることで、場所や国によっても呼び名はバラバラですし、同じ種類なのに全然違う名前のものもよくあります。
これは木材に限ったことではなく、例えば、日本中、全国各地にいる大工さんの中でも使用する道具や材料、工法などの呼び名はその土地によって様々です。
要はその土地の人たちが理解できていて、性能や特徴などの根本をわかっていればそれでいいのです。
中にはいい加減だなと思われる方もいるかもしれませんが、世界中で統一することはかなりの困難を要するので今の今まで、この状態なんだと思います。
ですから、皆さんも材料を探す際に、色んな種類の木材を見ると思いますから、そういったところにも注力を置いて見てみてくださいね。