柳杉フローリングについて
柳杉材とは?
名前を聞くと、スギであることはわかりますよね?
柳杉はスギ科スギ属の常緑針葉樹になります。ちなみに常緑針葉樹というのは、字のごとく、常に葉が緑の状態の針葉樹を言います。スギは冬でも深い緑色を絶やさず通年、葉っぱが落ちることなくついてます。
柳杉は中国南部に多く、日本の秋田杉を植林して生産していると言われ、調べてみると遺伝子レベルで同じ種類のようです。となれば、国産か中国産かで違うだけで質はほぼ秋田杉と変わらないということになりますね。
秋田杉は日本のスギとしてブランド化されているところもあるので、値段もそれなりにするかもしれませんが、対する柳杉は、ほぼ同じ品質で低価格での購入が見込めます。
産地によってわずかな差はあるかもしれませんが、色味や質感、手触りなどは日本のスギとほぼ同じ性質を持ちます。
柳杉の特徴
無垢の木材の色は白く、心材に近くなるにつれ赤みを帯び、淡紅色が美しいです。
木目は鮮明で、スギの育ち方同様、真っ直ぐとキレイな木目を持っています。また、スギ特有の香りがあるので日本人には馴染みも深く、使用した空間は、落ち着きある癒やしの空間にしてくれることでしょう。
材質は柔らかく、加工にもとても優れていますが、柔らかいことで傷や跡が付きやすくなってしまいます。ただ、調湿効果も持つスギは呼吸も上手なので、傷に対しても多少の自己修復力もあります。
また、耐水性はあまりよくないので、水回りに使用するよりかは、内装部分として壁や天井、棚やドアなんかに使用されることが多いです。
紅白の濃淡の中にはスギ独特の節がアクセントとなり、スギ本来のナチュラルな雰囲気を出してくれます。
先ほどもお話したスギ特有の香りはヒーリング効果の他にも防虫効果も持ち合わせていますから、内装材としては重宝されます。
柳杉の場合はその持っている木目が人気だったりするので無垢材の無塗装を選ばれる方が多いですが、UV塗装を施してあるものは日焼けがしにくく、色味が長持ちします。複合フローリングも同じように塗装というより、防水加工などを施してあげると柳杉の良さを保つことが可能になります。(床だと24mmの構造用合板を下地にフローリングを貼ることが多いです)
柳杉のメリット・デメリット
■メリット
- きめ細かく色白で美しい
柳杉はきめ細かく、色が白く、木目が美しいのが特徴です。まさに日本人女性を思わせるような木材です。滑らかな木肌は触り心地も良く、羽目板や壁などの内装に使用すると明るい雰囲気にしてくれます。
日本らしい和風な空間をお求めの方にはオススメです!
- 軽くて加工しやすい
これは、スギの持つ特徴ならではです。とても軽く扱いやすいです。真っ直ぐ成長するので加工もしやすいですし、その美しさから職人さんたちにも昔から人気が高いです。
また空気層を多く持ち合わせているので、湿度を調節してくれる自然の調湿効果が期待されることも含め、温かい空間をつくってくれます。
- 香りがいい
先ほどもお話した通り、スギならではの独特の木の香りがヒーリング効果として癒しの空間を演出してくれます。また、スギには防虫効果もありますので内装材としてはオススメです。
杉林にいるかのように自宅で森林浴気分を味わえるのは、かなり特別感が出ますよね!
■デメリット
- 傷が付きやすい
柳杉は上記でもお伝えしたように軽く柔らかいので加工がしやすいですが、その反面、傷が付きやすいです。クッションのように衝撃を受け止めはくれますが凹みます。
また、使用している部分が小さければ割れる可能性もあります。子供部屋のような場所よりかは、やはり和室や寝室など落ち着いた場所に使用するのがいいかもしれません。
ただ、現在においては加工技術の進歩から、木材を圧縮することができ、圧縮することで強度を増し、保つことも可能になってきたようです。
- 節の補修が必要
これはモノにもよりますが、スギ特有の節はアクセントにもなりますが、その節に穴が空いていたり、成長段階で何らかの刺激によって空気が混じっていたりすることがあります。
しかし、そこに関しては加工段階でパテで埋めたり、補修することは可能です。もし、ご自宅でも同じように節に穴を見つけた場合は、簡単な作業で補修が出来ます。
柳杉に似ている木材
杉の歴史
杉は桧と並んで、日本では代表的で古くから使用されてきました。
その為、日本家屋や、日本建築には欠かせない木材と言えるでしょう。ではこの杉の歴史はどこから始まったのか?
日本古来種の杉は北は青森、南は沖縄まで広がり、種類は数百種もあるそうです。杉の名前は元々「直木」。まっすぐな立ち姿からその名前が付いたとか…。
杉は古くから建築資材として利用され、日本の12%をも占める地域に植林されています。
秋田や岩手、山形など東北地方の各地でスギの化石が発見されていて、わかるものでも530万年前からあったことがわかっています。また、有名な万葉集にも、人が植えたスギについて詠んだとされる歌があり、この時から既にスギの植林が行われていたのがわかります。
そして時は戦国、この時代でも大いに活躍をしたスギは全国統一を果たした、かの豊臣秀吉にも見初められ、領土である秋田氏らに命令をし、天然の秋田杉を献上させたとか。その立派な秋田杉を伏見城の建築や、当時の造船にも使用したそうです。
その後、徳川家康が天下を取り、「国宝は山なり」とお達しの元、江戸への上納や商売は続きつつも、必要に伐採することで大切な山を衰退させない為、同時進行で植林を行うよう指示を出したそうです。資源は無限ではないですからね!その後も木材の需要は高まり、生産が追い付かず、幾度か林政改革も行われながら現在に至るみたいです。
その間も第二次世界大戦などの戦争が始まれば、スギは軍事用の必要物資として需要が急増し、更なる木材増産が推奨され、軍事用以外には販売においても規制がかかり中々手に入らなかったそうです。
戦後の復興や、高度成長期になっても木材の需要は著しく、それに加えて隣国などの戦争や、自然災害などの被害で木材の価格は世界的にも高騰したようです。「国宝は山なり」と植林を始めてて本当に良かったですよね。しかし、木が成長するまでには時間もかかりますから国としても試行錯誤の繰り返しだったことでしょう。
木材の需要が高まったことで林業や加工業界は大忙し、国や県の基幹産業になりました。昔は林業をやっていると高給取りなんて言われましたからね!今では後継者不足に悩み、人手が足りず需要と供給のバランスが難しくなっているところもあるみたいですが、資源が少ない日本に於いては、決して無くなることのない職業なのかもしれませんね。
上記で述べた結果、今では、天然の杉林はとても少なくなっていて、ほとんどが植林によって作られた人口の杉林だそうです。
スギの歴史は意外と奥が深いですよね。これを知ってしまうとスギだけではなく、全ての木材に対して有難みが湧いてきます。
柳杉のまとめ
いかがでしたか? 柳杉の良さは伝わりましたか?
木材にはそれぞれに特徴がありますし、育った環境によっても違ってきます。スギは特に真っ直ぐですので、置かれた環境によって材質が変わってきます。その特徴や特性を良く理解し、使用することで、より一層の効果が期待できるんではないでしょうか?
柳杉の雰囲気や、木目のナチュラルさ、そして香りのヒーリング効果なども含めると、寝室なんかにはとても良いかもしれません!また、柳杉の色合いは最近流行りの淡い系、こすけた系の色ともマッチするので大人な空間にも出来て、色を合わせるのに悩んでしまいますね。
お部屋に一つでも和テイストのモノがあると、日本人としては何だか落ち着きます。
そしてスギの長い歴史にも触れることが出来て、知らなかったことも見えてきたお陰で、木材に対しての愛着がより一層深くなったようにも感じます。
昔から木材と人は、共に共存してきた歴史を見るとロマンすら感じてしまいますね。