パインフローリングについて
パイン材とは?
パインだけ聞くと、フルーツのパイナップルを想像する方が多いのでパイナップルの木?と思われることもしばしば…。でもパイナップルは木にはならないでパイナップルとは全然違うモノになります。ここで言うパインはフローリングなどの木材、パイン材のことを言います。
パイン材はマツ科の針葉樹を加工したもののこと指し、国産でも欧米産でも同じ松には変わりないのですが、私たち業界内ではヨーロッパ産の松のことを一般的にパインと言います。とは言っても松も50種類以上ありますから、その中でも色々と呼び名があったりします。イエローパインやホワイトパイン、ポンデロッサパインにレッドウッドなどがあり、育った地域によって硬さや色味も違いますし、木目も変わり、価格もそれぞれです。
メープル材やオーク材などの同じ木材としてメジャーなパイン材はフローリングだけではなく、家具や壁材などでも使用されるオールマイティーな木材で、針葉樹ならではの柔らかさやキレイな白色で人気があり、DIYなどの加工材料としても頻繁に利用されます。
パイン好きの人の中では本当に好きすぎて、家具や部屋全体をパイン材で揃えたいなんて方もいらっしゃいます。全体にパイン材を使うとお部屋の統一感も出ますし、ヒーリング効果も倍増で癒しの空間そのものになりそうですよね!
パインの特徴
何と言ってもパイン材の最大の特徴はその色です!白いような黄色がかったような色合いが特徴で、木材全体に油分も多いので時が経つにつれて艶を出し、滑らかな色合いになります。
マツ科の針葉樹ですので節が多く、逆に節の少ないものは希少価値が高く、高価に扱われます。しかし、節の部分に親しみを感じて好まれる方も多いので一般的にはありのままの表情があるものが人気です。
また、針葉樹特有の木の香りがヒーリング効果としても注目を浴び、パイン材の家具で統一する方もいらっしゃいます。そして柔らかく加工もしやすいので重宝され、触り心地もとても良いです。
ちなみに先ほどもお話しましたが、パインと言っても数十種類の松がありますので地域によって呼び名は様々ですが日本の松に関してはパイン材とは属さず、「地松」や「南部赤松」「国産黒松」などと言われます。ですのでここでのパイン材は基本的に輸入パイン材のことになります。
パイン材のメリット・デメリット
メリット
- 明るい空間になる
パイン材の一番の特徴である白さは、お部屋の雰囲気を一気に明るくしてくれます。昼間はもちろんですが、夜であっても照明の光を浴びてパイン本来の明るさを強調してくれます。他の木材よりも、より明るく感じるのでナチュラルで白を基調としたお部屋には最適です!
- 香りがいい
先ほどもお話した通り、針葉樹ならではの木の香りがヒーリング効果として癒しの空間へと誘います。広葉樹に比べ、針葉樹の方が香りが強いのはフィトンチッドという物質が多く含まれているからだとか…。これは消臭効果や抗菌効果にも作用があり、安らぎも与えてくれるので、自宅にいながら森林浴をしているかのように癒されます。
- 価格が安い
無垢材と言われるモノは原木をそのまま切り取った状態で使用するので量産が難しく価格が高価になりがちですが、パイン材はそもそもの流通量が多いので無垢材の中でも安価とされ、無垢材の中では手にしやすいものとなります。
- 衝撃を吸収してくれる
コンクリートなどと比べると、木材は柔らかいので衝撃を吸収する力が大きいとされます。その木材の中でもパイン材は柔らかいので衝撃の吸収力が他の木材と比べて大きく、足腰に優しい木材と言えるでしょう!また、お子さんにとってもその柔らかさのお陰で、飛び跳ねたり、寝転んでも負担がかかりにくいので存分に楽しめる空間になるんではないでしょうか!
デメリット
- 傷が付きやすい
パイン材は上記でもお伝えしたように柔らかく加工がしやすいですが、その反対に柔らかさ故、傷が付きやすいです。引っかかったり、物を落としてしまった時なんかも傷が付いてしまうことがあります。しかし、簡単な傷であれば自分で補修することも可能ですし、小さな傷が味わいに変わったり、家族のストーリーになったりもして愛嬌に変わることも!
- 色が変色する
パイン材は明るいのが特徴ですが、年数を重ねるごとに飴色へと変色していきます。無垢材となると特に色の変化が顕著に出てきたりします。これも上記同様、一つの味わいとしてみる方もいれば、初めのナチュラルでキレイな色が良かったと肩を落とす方もいますので一概にデメリットとも言い切れません…
また、アンティークものも多くあり、パイン材を使った家具のアンティークはヨーロッパなどでは人気のようです。寒い地域の針葉樹は厳しい環境下にいるので、少しづつしか成長できないので木目がとても詰まっています。その為、普通のパイン材よりも硬く丈夫で今でもアンティークとして存在するんですね!また、月日が経ち、キレイな白色は透き通った飴色に変化していて、また違った表情を見せます。
- 変形しやすい
これも柔らかさ故ということもありますが、パイン材に限ったことではなく、無垢材はありのままの木材を使用するので変形しやすい性質にあります。木は木材として加工されてもなお、呼吸をし、生きています。その為、湿度によって調湿を行いますので、反ったり、ヒビが入ったりして隙間が出来てしまうこともあります。
まとめ
いかがでしたか? パインの良さを発見できましたか?
パインに限らず、木材にはそれぞれに特徴があります。その特徴を良く理解し、使用することで、より一層愛着が湧きますよね!
パインの明るい雰囲気や、木目のナチュラルさ、そして肌触りの良さなども含めると、子供部屋なんかにはとても良くマッチするんではないでしょうか?パインの色合いはどんな壁紙にも相性が良いので、お部屋のコーディネートに迷うかもしれませんね!また、お手軽な価格も背中を押してくれる一つの要因になるかもしれません。
子供の成長と共に変化する色合いなんかもアルバムを見返すと同時に、懐かしくもなりますし、子供が付けた傷も振り返ってみればいい想い出として刻まれ、その空間の一つのストーリーとして永く楽しませてくれることでしょう。
【番外編】~パイン材の家具~
優しく、明るい印象を持つパインは家具としても有名で、カントリー調の家具素材として多く使用されます。
カントリー調の特徴でもある、滑らかな曲線とぬくもりのあるデザインでダイニングテーブルや棚などでよく見かけます。ナチュラルカントリーなものは経年によって飴色になったものが好まれ、世界中に愛好家がいます。
また、針葉樹が多い、北欧なんかでも家具材として使用され、白が強いものは北欧インテリアにもとてもマッチします。
昔は「ウォルナット時代」なんて時代もあり、家具作りが盛んだったヨーロッパでは節や木目が多いものは家具として向かないと嫌煙されがちで、パイン材は価値の低い木材として扱われていました。なので大きなお屋敷や宮殿などでは、人目がつく場所にはウォルナット材やオーク材を使用し、召使いや使用人などの部屋や調理場などにはパイン材の棚などが置かれていたみたいです。このことからパイン材は庶民の木材として広く普及していったようです。
パイン材は柔らかいので加工のしやすさから、脚が曲線を描いていたり、家具のサイド部分には飾りで掘りが施されていたりとオシャレなものが多く、ヴィクトリア時代のイギリスにおいて、お屋敷の召使いたちが使っていた家具がキッチンファニチャーと呼ばれ人気になりました。
召使いたちが使っていただけあり、価格も安価で、その当時の高級家具を購入することができない階級の人たちが使う家具として、当時の家具屋さんはパイン材をウォルナットやオークと似せるよう塗装をし、節を隠すような家具を作ったそうです。これが次第にファッショナブルな家具として注目を浴び、庶民に浸透していき、一家に一台といったような存在になりました。
高級家具への憧れから、ペイントされているものが多かったパイン材家具はその後、ありのままの優しい木目や柔らかさの魅力に気付かれ、ヨーロッパの人たちの間で人気が高まり、それまで節を隠す為に施していた塗装も、ペンキを剥がし、経年で変化した飴色の木目を楽しむことへ価値が変わりました。
ストリップド・パイン・ファニチャーと言われるパイン材の塗装を剥がすだけの職人さんも出現。今もなお、ヨーロッパなどではそれが職業として存在しているみたいですよ!
ヨーロッパや海外は特に、昔のモノを永く愛用する傾向が強いので、家具に限らず住宅であっても築年数が古いほど高かったりします。日本とは真逆ですよね!それは日本が地震大国ということも関係はしていますが、いいモノは永くの精神は強いので、先祖代々受け継がれる指輪があったり、家具もそのうちの一つとして愛着を持って使っている人は沢山います。
日本ではアンティークではなく骨董品と言いますが、芸術品、美術品として楽しむ文化はあっても、中々使用し続ける文化はありませんよね…文化って面白いですね!
皆さんも、自分たちだけのこだわりの家具や、空間を見つけてくださいね!そして、そこに愛着を持って永く使用し続けることで、きっと付加価値が付いて、かけがえのない大切なモノへと変わっていくと思います。